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ASPインタビューレポート 〜株式会社インタースペース〜

ASPインタビューレポート 〜株式会社インタースペース〜

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ポイントサイトに掲載されている広告のほとんどが、アフィリエイト広告(成功報酬型広告)になります。そしてそのアフィリエイト広告を配信しているのが、アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)になります。ASPはポイントサイトにとって、なくてはならない存在です。そこで今回、業界最大手の株式会社インタースペースを訪ね、ASPの最新事情とポイントサイトに対するご意見をお聞きしました。

【会社概要】

株式会社インタースペース

設立:1999(平成11)年11月8日

代表者:代表取締役社長 河端 伸一郎 氏

資本金:9億8465万3800円 *2016年9月末現在

従業員数:336名(単体) 371名(連結) *2016年9月末現在

上場市場:東京証券取引所 マザーズ市場

事業内容:インターネット広告事業 メディア事業

 

【塚田洋平さん プロフィール】

株式会社インタースペース

取締役 広報事業管掌

1986年01月24日生まれ

2008年04月 株式会社インタースペース入社

2014年07月 同社アフィリエイト副事業部長

2015年03月 株式会社電脳広告社代表取締役(現任)

2015年12月 同社取締役(現任)

当サイトに掲載されているNAVIGATIONコンテンツ「ポイントサイトの基礎知識④/ポイントサイトはいつ誕生したの?」でもとりあげましたが、ポイントサイトの起源はアフィリエイト広告の出現と切っても切り離せない密接な関係にあります。
アフィリエイト広告とは、成功報酬型広告のことで、広告主が設定した成果条件――特定のECサイトで買い物をするとか、特定のサービスで会員登録するといった、決められたアクションをユーザーが行うことで、掲載サイトに初めて広告費が支払われる仕組みの広告のことです。
この仕組みを支え、広告主とポイントサイト事業者との間に立って、ポイントサイトに成功報酬型広告を配信しているのが「アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)」と呼ばれる事業者です。
ポイントサイト業界における広告代理店のような存在で、掲載されている広告のほぼすべてがアフィリエイト広告であるポイントサイトにとって、ASPはなくてはならない存在です。
ポイントサイトをアウトレットモールに例えるなら、サイト内に掲載されている多種多彩なアフィリエイト広告は、モールに出店する様々な店舗。同じブランドの店舗でも、都心の路面店や百貨店より、お得さをかなり享受できるところもアウトレットモールに似ています。ASPはそうした出店者をアウトレットモールに仲介している商事会社みたいな立場。そう考えると分かりやすいかもしれません。
そんなポイントサイト事業の要ともいえる存在なのに、一般の目にはなかなか触れることのないASPの実像を知るべく、業界最大手のひとつ「株式会社インタースペース」を訪ね、広告事業を管掌する塚田洋平さんに、ポイントサイトに対するご意見や、アフィリエイト広告の最新トレンドなどを伺いました。

――最初にアフィリエイト広告業界全体についてお訊きします。現在、アフィリエイト広告の市場規模はどのぐらいなのでしょうか?

塚田 矢野経済研究所が発表した調査結果(※1)によれば、2016年度のアフィリエイト市場規模は前年度比115.3%の2006億5000万円の見込みで、2017年度は2450億円と予測されています。

――電通が発表した2016年のインターネット広告費が1兆3100億円(※2)でした。そのうちの2006億円をアフィリエイト広告が占めているわけですか…。かなりの割合ですね。伸長の要因はなんだとお考えですか?

※1:(株)矢野経済研究所「アフィリエイト市場に関する調査(2016年)」(2016年12月13日発表)

注記:市場規模は、アフィリエイトの広告費(成果報酬額)、手数料、諸費用(初期費用、月額費用、オプション費用等)などを合算し、算出した。

https://www.yano.co.jp/press/press.php/001630

※2:(株)電通 ニュースリリース「2016年 日本の広告費」

http://www.dentsu.co.jp/news/release/2017/0223-009179.html

塚田 外部環境の要因でいえば、やはりスマートフォンの普及が大きいと思います。アフィリエイト広告に対するユーザーの接触が劇的に増えましたから。

――なるほど。御社は2001年にPCのアフィリエイト広告からスタートしています。当初はどのような広告をメインにしていたのでしょう?

塚田 立ち上げ当初は、Eコマースの広告主様がメインでFXを始めとする金融関係、それからPCのオンラインゲームとサービス提供を対象にする広告主様を明確にしたことで広告主様の業界に対する知見が深まりサービスが軌道に乗りました。

――それから16年、現在はいかがでしょう? 広告主の顔ぶれが変わったというようなことはありますか?

塚田 金融でいえば、FXのプロモーションは今も変わらずです。あとはネット証券。Eコマースでは、アパレルや化粧品、健康食品など幅広くお取組みさせて頂いております。また、人材やエステのプロモーションも以前から好調です。直近のトレンドとしては、やはりスマートフォンの普及に伴って、格安スマホやSIMカードの契約などが増えています。目を惹くところでは「ふるさと納税」がありますね。

――ふるさと納税がアフィリエイトの案件にあるのですか?

塚田 そうです。ただし、実施しているのは自治体ではありません。ふるさと納税を取りまとめたポータルサイト様から出稿していただいています。ふるさと納税は実質の自己負担が2,000円(※3)で全国の自治体への寄付金に応じて自治体からお礼品が貰えることから、お得に良いものを手に入れたいと考えるポイントサイトのユーザー様と相性が良いと思います。

※3:控除上限額の範囲内で寄付すると、2,000円を超える部分の金額が控除、または還付される仕

組み。

――スマートフォンの普及がアフィリエイト広告の市場規模を拡大したというお話がありましたが、スマートフォンの普及によって顕著に伸びた分野などはありますか?

塚田 一番大きかったのは、スマートフォンに対応したサイトが増えたことです。若年層向けのEコマースなどは、スマートフォンからのトラフィックがほとんどだったりします。なかには90%がスマートフォンからという広告主様もいらっしゃいます。それを踏まえて、スマートフォンサイトだけで、PCサイトは作っていないという広告主様もいらっしゃいます。

――若年層向けのEコマースの広告主様というと?

塚田 アパレルが多いです。それからコンタクトレンズとか。あとはエステの予約など。ほとんどモバイルから申し込みですよ。

――スマートフォンから申し込む方が多いんですね。

塚田 ええ。特に若くてパソコンを持っていない方は多いですから。

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ASPとポイントサイトの関係などを、会議室のホワイトボードを使って丁寧に教えてくださった塚田さん。

――では、今はまだそれほど規模は大きくはないけれど、“ここには勢いを感じる”というような分野はありますか?

塚田 そうですね。今、勢いを感じるのは、資産運用ですね。「貯蓄から資産形成へ」は、ずいぶん前から政府が旗振りしてきたことですが、ここに来てようやく20代や30代の若い人たちが、単に貯金するのではなく、お金を投資に回してみようという感覚を持ってきたように感じます。その流れの中で注目しているのが、証券会社やベンチャー系の投資関連企業が扱っている人工知能を利用した資産運用です。最近、ファイナンスとテクノロジーを掛け合わせた造語「フィンテック」が話題ですが、これもそのひとつで、人ではなく、コンピュータープログラムが資産運用を助言してくれるものです。投資の目的やリスクの許容度を決めてポートフォリオが構築され、あとは運用成績をユーザーがチェックする、そんなイメージですね。

――投資一任運用サービスの一種に「ファンドラップ」がありますね。投資目的やリスク許容度を踏まえた上で、金融機関の専門家が投資信託を一任運用するものですが、こちらは人手が介在するため最低運用資産額が数百万円~いう設定がほとんどです。

塚田 それに対してフィンテックを利用した投資信託は、専門家の仕事をコンピューターが代行するので、手数料などが安く、また、最低投資金額の設定が1万円〜だったりと少額から運用することができます。少額から運用できるから若い方にも取っつきやすいのでしょう。しかも、スマートフォンで口座が開設でき、アプリやウェブで運用実績が確認できるといったところも、若い人向けと言えるかもしれません。こうした資産運用の分野は、これまで40代、50代の方が中心でしたが、それが20代、30代にも広がってきている。我々としてもまさにチャンスが生まれつつあるタイミングなので、この分野には改めて注力していかなければならないと考えています。

――なるほど。では、ポイントサイト業界に対して今後期待していること、あるいは提言したいことなどがありましたらお聞かせください。

塚田 ポイントサイトの活用に関して、いわゆる“アクティブ”なユーザー様をもっと獲得して欲しいという想いはあります。クレジットカードの案件であれば、カードの発券だけに終わらず、買い物などで頻繁にカードを利用してくれるような方々。Eコマースの案件なら1度きりでおしまいではなく、2度、3度と継続的に購入してくれるような方々。そのような“アクティブ”なユーザー様を獲得して欲しいという本音はあります。ただし、インセンティブを還元するというポイントサイトの仕組みからすると、それは相反する要望ともいえますし、タイミングによっては、“量”に重きを置いたユーザーの獲得も大事です。我々広告主様の提供するサービスとユーザー様の趣向がマッチすれば早期に広告主様の成功につながることもありますので。

――確かに、ポイントサイトの仕組みを考えると、“量”を優先する取り組みも大切です。

塚田 しかし、そうした現実を踏まえた上でなお、中長期的な視点から今後いかにして成長していくかを考えれば、“アクティブ”なユーザー様を獲得する、あるいはそうしたユーザー様を育てていくことが不可欠になると考えています。そのためには、ポイントサイトのみならず、広告主様や我々ASP事業者も一体となって、協力していく必要があると思っています。

――中長期的な視点をいかに持てるかが、ポイントサイトには求められているということですね。

塚田 はい、その意味でも、業界団体であるJIPCさんは健全化の旗印として役割を果たされていると思いますし、アフィリエイト業界全体を巻き込んで、中長期的にもっとユーザー様、広告主様、ポイントサイト様がwinになるような枠組みを作っていく必要があると考えています。

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インタースペース社内の様子。カラフルな椅子が並ぶコミュニティスペースは、社内のミーティングやブレイクタイムの場所として使用されている。

――今後、ポイントサイトはどのように進展していくとお考えですか?

塚田 これはポイントサービス全体の話になりますが、現在、ポイント流通額の伸長が著しいのはご承知の通りです。Tポイントもあり、pontaもあり、楽天スーパーポイントもあり、他にもいろいろあって、いわば何にでもポイントが付く時代。ポイントを獲得する機会が以前とは比べものにならないぐらい増えています。言い換えれば、それだけ一般の方々がポイントに触れる機会を得ているということです。

――今やポイントが付かないサービスを探す方が難しいぐらいですからね。

塚田 これに対して、ポイントサイトはまだ「ネットに詳しい方々のお得なツール」なのではないでしょうか。ポイントサイトのユーザー様は、今のところ一般の方々よりネットリテラシーが高いと思いますが、今後ポイントが今以上に日常的なものとなれば、一般の方々の利用もおのずと上がっていくでしょう。そうなれば、ポイントサイトが日常的に利用され、新たな商品やサービスの出会いの場となり、ポイントサイトのユーザー様や出稿する広告主様も増えていくのではないかと見ています。

――ポイントサービス全体の話題が出たので、それに関連してお訊きします。ポイントというと、生活をお得にすることがまずは強調されがちですが、それだけに終わらないポイントのパワーといいますか、ポイントのさらなる可能性みたいなものがあるようにも感じます。その点についてはどのようにお考えですか?

塚田 まず言っておかなければならないのが、ポイントを他のポイントと交換できることをご存知の方がまだまだ少ないということです。たとえば、Tポイントはカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が提携している企業や店舗でしか使えないと思っている方がとても多い。でも実際は、ある程度のポイントは特定の手順を踏めば航空会社のマイルと交換することができますね。ポイントサイトのポイントは現金に換えられますし、ビットコインにも交換できますので、普段の生活やちょっと背伸びしたいときに大いに役立ちます。

――なるほど。確かにこういったことが認知されてくるとポイントの貯め方や使い方に関する理解は今後、より広まっていきそうですね。もうひとつ、これはJIPCに加盟する多くの企業が取り組んでいることでもありますが、ポイントを社会貢献に活用しようという気運がかなり高まっているように思います。実際、各ポイントサイトでもポイントで募金してくださるユーザー様が非常に増えています。

塚田 そういえば、僕も東日本大震災のときに、Tポイントで寄付しました。

――ポイントが社会貢献のツールであるという捉え方は、ポイントのこれからのあり方として興味深いかもしれませんね。

塚田 「普段の生活で貯めたポイントが社会で困った人の力になる」。そういった付加価値のあるポイントの使い方が、ポイントサイトを中心に広く一般の方々に浸透していくようになっていくと、ポイントサイトに対する広告主様やユーザー様からの評価も高まるでしょう。そこは今後、とても楽しみだなと考えています。

――我々としても楽しみです。本日はどうもありがとうございました。